小学校の制服は、冬でもかなり短い半ズボンだった。11月の下校時刻は、もうずいぶん冷えている。むかいのホームでは、友人たちが賑やかになにか話している。貨物列車がとおるたびに、反響する笑い声をかき消してくれた。ひざうえの鳥肌をなでる。西側へ帰る子は少なかった。

電車が進むほどに、乗客がまばらになる。最寄りの古い駅舎で、やけに広い構内をジグザグにあるく。靴音がひびく。電車通学の子どもを迎えにきたであろう親が、改札前にならんでいるのが目にはいった。ほかには、ほとんど人はいない。ドーナツ屋の店先で、ガラスにランドセルを背負った制服姿がうつった。むこう側では、親子が小さなドーナツをほおばっている。

いつもの停留所でバスを降りる。顔なじみのいない住宅街を、歩道の端によって歩く。車なんて、めったに通らない。ランドセルのなかで筆箱がなんども跳ねて、煩わしい音をたてている。新しくみつけたコンクリートの模様に名前をつけた。

鍵をまわす。リビングに電気をつけた。 母が帰るまで、今日もまだ3時間ある。