「これで上手くいかせようと腹をくくれてる?」と言われて、返事に詰まった。
20代半ば、任された仕事を上司にみせるたびに、どこか直された。知識も経験も差がある。そうして少しずつ判断できるようにするものと思っていた。自分が「これでいく」と決めるなんて発想はなかった。
翌年、6名のチームを任せてもらった。背景も目的も話した。それでも、でてきた提案はどこかピントが合わない。相談の回数を増やしてみても、あまり変わらなかった。
あるとき「成果が出るかは、尚平さんが判断すると思っていました」と返ってきた。あの日の上司の顔が浮かぶ。
彼女が「これでいく」と決めたなら、外れてもいい。限られた期間でたくさん試してもらおう。そう伝えた、つもりのままだった。
ものさしだけが、まだ、ぼくの手の中に残っていた。