次男が生まれた。長男のときよりも少し大きい。久しぶりに抱き上げた新生児は、ふわふわと軽い身体から、ずっしり心に染みわたる温かさがあった。

親戚や友人に、家族がふえた嬉しさを伝えようとして、一瞬ことばに詰まる。「すごく嬉しい」。それ以上が続かなかった。ぼくには幸福な語彙があまり多くないらしい。

上手くいかないことには、ずいぶん言葉をつかってきた。画面をまっくろにする難しい熟語をならべて、カタカナもたくさん覚えた。どうにかして苦しいものに名前をつけると、いくらか扱いやすくなった。

そのくせ、楽しいことは雑だ。だって、笑って騒いでいたら、それで済んだ。「楽しい」と「嬉しい」を区別する必要すらなかった。どちらも、そのままで困らなかった。

もうすこしだけ考えて、次男を抱いた気持ちを言葉にした。